ブレーキをかけるたびに「キーッ」という甲高い音が鳴ると、恥ずかしいだけでなく、「壊れているんじゃないか」と不安になるものです。特に静かな住宅街や早朝の通勤時には、その音が余計に気になってしまいます。
実はこのブレーキの異音、多くの場合は深刻な故障ではなく、汚れや角度のズレといった、自分で直せる原因によるものです。ただし、なかにはシューの摩耗や劣化のように、放置すると制動力そのものに関わる原因が隠れていることもあります。
この記事では、自転車のブレーキから異音がする代表的な原因から、自分で調整する具体的な手順、あさひなど店舗に依頼した場合の費用相場まで、実際の料金情報をもとに順番に整理していきます。読み終える頃には、その音が「様子見でよい音」なのか「早めに対処すべき音」なのかを判断できるようになるはずです。
※この記事はプロモーションを含みます。
自転車のブレーキから異音がする原因
まずは、ブレーキから「キーキー」という音が鳴る代表的な原因を確認していきます。原因によって対処法が変わるため、まずは自分のケースがどれに当てはまるかを見極めることが大切です。
汚れや異物の付着が引き起こすキーキー音
最も多い原因は、ブレーキシューとホイールのリム部分に付着した汚れや小さな石などの異物です。
雨の日や砂利道を走った後は、泥や砂粒がリムやシューの表面に付着しやすくなります。これらの異物がブレーキ時にリムとシューの間で擦れることで、甲高い異音が発生します。見た目には気づきにくい微細な汚れでも、音の原因としては十分です。
この原因であれば、対処は比較的簡単です。柔らかい布や自転車用のクリーナーを使って、リムとシューの表面を丁寧に拭き取るだけで、音が解消されることも少なくありません。まずはこの清掃から試してみるのが、最も手軽な第一歩です。
ブレーキシューの角度(トーイン)がずれている
ブレーキシューがリムに対して平行に接触していない状態も、異音の代表的な原因です。
本来、ブレーキシューは前方(タイヤの回転方向側)がわずかに先にリムへ当たる、「トーイン」と呼ばれる角度で取り付けるのが理想とされています。この角度がずれて、シュー全体が一度に面で当たってしまうと、摩擦が不均一になり、振動が音として発生しやすくなります。
トーインの角度は、シューを固定しているボルトをわずかに緩め、角度を微調整することで直せます。細かい作業ではありますが、専用工具がなくても六角レンチ程度で対応できる場合が多く、自分で調整する人も多い項目です。具体的な手順は後の章で詳しく説明します。
新品シューが馴染んでいないだけのケース
ブレーキシューを交換した直後に音が鳴り始めた場合、単に新品のシューがまだ馴染んでいないだけという可能性があります。
新しいシューの表面は、リムとの接触が均一でないことが多く、使い始めのうちは摩擦にムラが出やすくなります。数回から数十回程度ブレーキを使ううちに、シューの表面がリムの形状に馴染み、自然と音が収まっていくケースは珍しくありません。
交換直後で急激に音が大きくなったわけではなく、日を追うごとに落ち着いてきているようであれば、しばらく様子を見てよい可能性が高いといえます。
シューの硬化・摩耗が原因のケース
ブレーキシューのゴムが硬化していたり、大きくすり減っていたりすることも、異音の原因になります。
ゴムは経年劣化で徐々に硬くなっていく素材です。硬化したシューはリムへの密着度が下がり、本来の摩擦とは違う擦れ方をすることで、音が発生しやすくなります。また、シューの溝がすり減ってほとんどなくなっている場合、制動力そのものが落ちている可能性もあり、音以上に安全面で注意が必要な状態です。
清掃や角度調整を試しても改善しない場合、シューの状態そのものを疑い、交換を検討するタイミングです。交換の目安については、後の章であらためて詳しく解説します。
雨の日に音が大きくなる理由
普段は気にならない程度の音でも、雨の日にだけ大きく響くように感じることがあります。
雨が降ると、リムの表面に水の膜ができ、ブレーキシューとの摩擦特性が晴天時とは変わります。この状態で急ブレーキをかけると、水が一瞬でせき止められることで、通常とは違う甲高い音が出やすくなります。これは異常というより、雨天時に起こりやすい自然な現象である場合が多いです。
ただし、雨の日は制動距離が伸びやすいという点も忘れてはいけません。音の大小にかかわらず、雨天時は普段より早めのブレーキ操作を心がけることが安全につながります。
異音を放置するリスク
「音が気になるだけで、走行には問題ないから」と異音を放置し続けると、思わぬリスクにつながることがあります。
汚れや角度のズレが原因であれば、放置しても制動力への影響は限定的なことが多いですが、シューの硬化や摩耗が原因の場合、音を放置している間にも制動力そのものが低下し続けている可能性があります。異音は、いわば車体からの「そろそろ点検してほしい」というサインだと捉えるとよいでしょう。

自転車進まない 疲れる原因を徹底解説|走りが重いときの改善策
ブレーキの引きずりも「進まない・疲れる」の原因になり得ます。走りが重いと感じたときの原因と改善策を解説した記事です。
次の章では、実際に自分で調整・対処する方法と、店舗に依頼した場合の費用について詳しく見ていきます。
自分で直す調整方法と店舗費用の比較
ここからは、実際にブレーキの異音を自分で調整する具体的な手順と、店舗に依頼する場合の費用について見ていきます。
調整に必要な道具
ブレーキの清掃・調整に必要な道具は、それほど大掛かりなものではありません。
基本となるのは、六角レンチ(ブレーキシューの固定ボルトのサイズに合ったもの)、ブレーキ・リム用のクリーナーまたは中性洗剤、やわらかい布、そして仕上げ用に細かいサンドペーパーがあると、頑固な汚れやシューの表面調整にも対応しやすくなります。
リムとシューの清掃手順
まずは異物・汚れが原因かどうかを切り分けるためにも、清掃から始めるのが基本です。
ホイールを回しながら、リムの側面(ブレーキシューが当たる部分)全周を、クリーナーを含ませた布で丁寧に拭き取ります。ブレーキシュー側も同様に、表面に付着した黒ずみや小石を、布やサンドペーパーで軽くこすって取り除きます。落ちにくい汚れの場合は、中性洗剤を薄めた水で拭き取った後、しっかり乾かしてから使用してください。
清掃だけで直らない場合は次の工程に進む
清掃後、試しにブレーキをかけてみて音が改善しているか確認しましょう。改善が見られない場合は、汚れではなく角度やシューの状態が原因である可能性が高いため、次のトーイン調整、あるいはシュー交換の検討に進んでください。
トーイン調整の具体的なやり方
清掃で改善しない場合、次に試したいのがブレーキシューの角度(トーイン)調整です。
ブレーキシューを固定しているボルトを、シューが動く程度にわずかに緩めます。厚紙や薄いゴム板をシューの後方(タイヤの回転方向とは逆側)に挟み込みながらレバーを軽く握ると、シューの前方がわずかに先にリムへ当たる角度をつけやすくなります。角度がついた状態でボルトをしっかり締め直し、挟んでいた紙やゴム板を抜き取れば調整完了です。
調整後は、必ず実際にブレーキレバーを握って、シューがリム全体にきちんと接触しているか、タイヤやスポークに干渉していないかを確認してください。角度をつけすぎると、逆に別の異音や偏摩耗の原因になることもあるため、少しずつ様子を見ながら調整するのがコツです。
ブレーキシュー交換の目安とタイミング
清掃や角度調整を行っても改善しない場合、あるいはシューの摩耗が目立つ場合は、交換を検討するタイミングです。
多くのブレーキシューには、側面や表面に摩耗の限界を示す溝や線が入っています。この目印が見えなくなっている、あるいはシュー全体が硬化してひび割れているようであれば、交換のサインです。制動力そのものに関わる部品のため、音だけでなく効きの甘さを感じた場合も、早めの交換をおすすめします。
前後のブレーキで摩耗の進み方が異なることも多いため、片方だけ交換して終わりにせず、もう一方の状態もあわせて確認しておくと安心です。

自転車のパンク修理完全ガイド|原因・自分で直す手順・費用相場
同じ自分でできるメンテナンスとして、パンクの原因と修理手順、費用相場を解説した記事です。
自分で調整する費用と店舗に頼む費用の違い
自分で調整・交換する場合と、店舗に依頼する場合とでは、費用に差があります。
清掃や角度調整であれば、専用のクリーナーや工具をすでに持っていれば追加費用はほとんどかかりません。ブレーキシューそのものの部品代も、一般車用であれば比較的安価に入手できます。一方、店舗に依頼すると、部品代に加えて工賃が発生します。頻繁に自分で自転車をメンテナンスする人にとっては、基本的な調整を自分でできるようになることで、長期的なコストを抑えやすくなります。
ただし、ブレーキは走行の安全に直結する重要な部品です。調整に自信がない場合や、効きに明らかな異常を感じる場合は、無理をせず店舗に相談することをおすすめします。
あさひなど店舗調整の相場と特徴
店舗にブレーキの調整や交換を依頼する場合、内容によって費用の目安が変わります。
大手チェーンであるサイクルベースあさひでは、2026年4月時点でブレーキ調整が前後セットで1,100円(税込)、ブレーキシュー交換の工賃は一般車で880〜1,760円前後が目安とされています。部品代を含めた総額では、一般車で片側1,500〜2,500円程度が一つの目安です。スポーツ車のVブレーキなど、車種によってはやや高くなる傾向があります。
料金は店舗や車種、時期によって変動する可能性があるため、正確な金額は来店前に店舗へ確認するか、公式サイトの最新情報を参照することをおすすめします。
今日から確認できるブレーキ点検チェックリスト
ここまでの内容を、実際にブレーキの状態を確認する際にすぐ使えるチェックリストとして整理しておきます。
- ☑ リムとシューの汚れをまず清掃して確認している
- ☑ シューの角度(トーイン)がずれていないか確認している
- ☑ 新品シューなら馴染むまでしばらく様子を見ている
- ☑ シューの摩耗限界の目印や硬化・ひび割れを確認している
- ☑ 音だけでなく、効きの甘さも感じていないか確認している
- ☑ 調整に自信がない場合は無理せず店舗に相談する判断をしている
異音は車体からのサインとして捉え、原因を切り分けながら対処することで、静かで安全な走行を保ちやすくなります。
この記事の結論
自転車のブレーキ異音の多くは、汚れや角度のズレといった自分で直せる原因によるものですが、シューの摩耗や硬化が原因の場合は制動力そのものに関わるため注意が必要です。原因を順番に切り分け、必要に応じて清掃・調整・交換を使い分けることが、安全で静かな走行につながります。
修理料金や店舗ごとの対応は変更される可能性があります。正確な情報は各店舗の公式サイトをご確認ください。 ブレーキの効きに不安がある場合や調整に自信が持てない場合は、無理をせず自転車店にご相談ください。
この記事を書いた人:KickTrend編集部
自転車・電動自転車・モペット・原付・バイクなど、身近な乗り物の交通ルールや選び方を調べてわかりやすく発信しています。法改正や制度変更があった際は、公的な情報をもとに内容を随時見直しています。


